Optogenetics2014

光操作研究会 in 東北大学2014 開催概要



2014年08月18日(月)~25日(月)までの8日間全日程、無事に終了致しました。総参加人数138名、シンポジウム・技術検討会講演を含めた総演題数31題、ポスター発表件数18件、技術検討会<形><光1><光2>受講者総数27名の大会でした。ご講演した下さった皆様、ご参加して下さった皆様、技術指導して下さった皆様、様々な形で資金援助をして下さった学術団体・公益財団法人・協賛企業様、皆様のご協力に深く感謝申し上げます。

大会中の様子は、左のアルバムをクリックしてご覧いただければ幸いです。もうしばらく内容を更新し続けていきたいと思います。



POSTERS

「形と機能を解きほぐし、心の中身を暴き出す」
~コネクトミクスとオプトジェネティクスの出会い~

今年は、例年とは一味異なり、オプトジェネティクスといった光で細胞機能を操作する技術に加えて、コネクトミクスなどの形態学的に脳回路を同定していく試みに関する研究会に致したいと思います。

そもそも、オプトジェネティクスとは、光感受性タンパク質の生物物理学を進めていた研究者と、脳神経生理学者との間の奇跡の出会いによって創出された新技術です。新しい科学の発展、科学革命は必ず専門分野間の境界領域で生まれるものです。今、形態学の分野では serial block face SEM と呼ばれるような 3D 電顕、超解像光学顕微鏡、whole brain の透明化技術、拡散テンソル画像法等の開発が進んでおり、集積回路を読み解くような精度で、脳の全ての配線図が描ける時代がすぐそこまで迫ってきています。回路の構成素子ひとつひとつを光や薬で自在に操ることも、すぐにできるようになるでしょう。膨大な画像情報をどう処理するのかといった問題や、果たして、細胞機能操作と計測を繰り返すだけで因果律を引き出すことができるのかといった問題も出てきます。こういった問題にどう立ち向かっていくのか、これからの脳科学や生命科学の未来を大いに議論したいと思います。

今年のもう一つの特徴としては、例年、東北大学の八尾寛先生の開催している「オプトジェネティクス講習会」との合同大会でもある点です。八尾寛先生や Karl Deisseroth 先生がオプトジェネティクスを創始して、最初の論文が掲載されたのが 2005-2006 年になります(Boyden et al., 2005, Nat Neurosci; Ishizuka et al., 2006, Neurosci Res)。光操作研究会は 2009 年に岡崎で立ち上がり、オプトジェネティクス講習会は 2011 年に仙台で立ち上がりました。両会共に光操作技術の限りない可能性にいち早く目をつけていたことになりますが、講習会のほうは特に技術の普及を目指し、少人数に絞った形で、若い学生や研究者にオプトジェネティクス実験の実地体験してもらってきました。今年も技術検討会を開催いたしますので、ぜひ、ご応募いただければと思います。

光操作研究会コアメンバーの総意を代表して、平成26年度当番幹事より
- 東北大学大学院医学系研究科 准教授 松井 広



※表紙絵上部:ライオン狩りのレリーフの写真からの改変(松井撮影・改変)。
 ペルガモン博物館(ベルリン)展示(撮影自由)。
 アナトリア、Sakçagözü地区。紀元前750年頃。
※表紙絵下部:東北大学松井広研究室の実験写真からの改変。
※ポスター・抄録表紙の「光」の題字:仙石慎太郎氏(京都大学 物質-細胞統合システム拠点)。


トラベルグラント

光操作研究会では、包括型脳科学研究推進ネットワークの研究集会支援を得て、参加者にトラベルグラントを提供することに致しました。応募者の中から厳選して、下記、15名の参加旅費支援を致します。未来の脳科学の発展のため、皆様の積極的なご討論とインターアクションに期待しております。

光操作研究会 in 東北大学 2014 トラベルグラント受賞者一覧

光で脳の機能を操り、心の成り立ちを理解する。この新しいムーヴメントに参加した貴殿が、これから日本の科学の革新に寄与する逸材として活躍されんことを祈念して、ここにトラベルグラントを賞与する。

ご氏名ご所属ご職業参加コース
藍原 周平京都大学大学院生命科学研究科
高次生命科学専攻
修士課程2年<光1>
生駒 葉子鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
統合分子生理学分野
博士課程1年<光2>
石原 良祐慶應義塾大学大学院医学研究科
生理学教室
修士課程1年Symp
犬束 歩名古屋大学環境医学研究所
神経系分野2
研究機関研究員Symp
川島 茂隆鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
統合分子生理学教室
修士課程1年<形>
金 亮東京大学大学院医学系研究科
脳神経医学専攻
ポスドク<形>
木村 生慶應義塾大学大学院医学系研究科
精神・神経科学教室
ポスドクSymp
坂口 理智京都大学大学院生命科学研究科
高次生命科学専攻
修士課程1年<光1>
篠原 良章理化学研究所脳科学総合研究センター
神経グリア回路研究チーム
ポスドクSymp
高橋 めぐみ名古屋大学理学研究科
脳機能構築学研究室
博士課程2年Symp
松嶋 藻乃東京大学大学院医学系研究科
神経生化学分野
特任助教Symp
矢野 竜太朗慶應義塾大学大学院医学研究科
生理学分野
修士課程1年Symp
山下 哲名古屋大学環境医学研究所
神経系分野Ⅱ
ポスドクSymp
吉田 慶多朗慶應義塾大学大学院医学研究科
精神神経科
修士課程2年Symp
渡部 竜志電気通信大学情報理工学研究科
知能機械工学専攻
修士課程1年Symp


サポートスタッフ

光操作研究会 in 東北大学 2014 サポートスタッフ一覧

光で脳の機能を操り、心の成り立ちを理解する。この新しいムーヴメントを追究する光操作研究会の、円滑な運営をサポートしていただくために、貴殿を、重要任務に任命する。会の運営を通して、偽りのない真理の追究が日本の科学のスタンダードになることを祈念する。

サポート・スタッフ(11名)
阿部健太(東北大学)、五十嵐敬幸(東北大学)、生駒葉子(鹿児島大学)、石原良祐(慶應義塾大学)、植田和音(東北大学)、川島茂隆(鹿児島大学)、坂口理智(京都大学)、平野貴大(東北大学)、宮崎慎至(東北大学)、矢野竜太朗(慶應義塾大学)、吉田慶多朗(慶應義塾大学)

ボランティア・スタッフ(6名)
加藤秀理(大隅研)、佐藤達也(大隅研)、下田由輝(松井研)、野村良子(山中研秘書)、別府薫(松井研)、三浦明美(松井研技術補佐員)

世話人

研究会2014開催報告