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東北大学大学院生命科学研究科回路脳機能分野
兼・東北大学大学院医学系研究科回路脳機能分野

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2023年01月17日

祝!令和4年度辛酉優秀学生賞・特別賞 受賞

当研究室の金谷哲平氏が、令和4年度「東北大学大学院医学系研究科辛酉優秀学生賞(Shinyu Graduate Research Excellent Award at Tohoku University)」のうち、特別賞を受賞しました。本賞は、東北大学大学院医学系研究科に所属する大学院学生の研究をさらに推進することを目的としたものです。本賞の副賞は、一般財団法人辛酉会の助成により贈呈されました。開会の儀・ご挨拶は、辛酉会・大友久雄常務理事、辛酉会・玉井信理事長より賜り、選考経緯は堂浦克美大学院合同運営委員会委員長よりご説明があり、祝辞を八重樫伸生医学系研究科長より賜りました。本年度は、特別賞2名、優秀賞3名が表彰されましたが、金谷氏は、「超規模時空間解析による並列記憶仮説の検証」の課題を評価されて、特別賞の受賞となりました。

なお、本年は、新型コロナ禍が継続中のため、受賞者に加えて、所属研究室からは指導教授のみが式典に出席致しました。

ところで、前から気になっていたので、辛酉会の名称の由来を調べてみました。財団法人辛酉会は、大正10年11月に当時の医学部附属病院長熊谷岱蔵先生のご提唱により、医学部教授や病院内外の有志から受けた寄付金をもとに設立されたとのことでした。大正10年は、西暦では1921年で、干支で言うと、立春(1921年2月4日)以降であれば辛酉(かのとのとり) となるそうで、ここから辛酉会の名称がついたのではないかと思います。

辛酉会成立の熊谷岱蔵先生は、1921年当時は御年41歳。30歳代でドイツに留学後に帰国していた折であり、その後、1940年、60歳で東北帝国大学総長に就任。1941年には、東北帝国大学抗酸菌病研究所(結核とハンセン病の克服を目的とした研究所、1993年加齢医学研究所に改称)を設立して初代所長を務められました。

なお、辛酉会設立の大正10年と言えば、3月3日から半年にもわたり皇太子裕仁親王はヨーロッパ諸国をご訪問され、帰国後、11月25日に摂政に就任するといった出来事がありました。また、大正10年11月4日、 原敬首相の東京駅での暗殺というショッキングな事件もありました。ドイツでは、ヒトラーがナチス党党首に就任したのは、1921年7月29日。それから20年後の1941年12月8日開戦の太平洋戦争に向けて、日本も世界も、歴史の渦に巻き込まれていく時期でした。

このような歴史上の背景のあるなか、大正10年11月に設立された辛酉会ですが、財団の当時の事業目的は、経済的に困窮した入院患者に対し日用品の給付と慰安及び教職員・学生に対する各種助成、学事支援その他便宜供与でした。その後、設立理念に基づいた事業展開するため、組織改編等を行いながら、主に大学病院等における研究及び医療等の発展の一助となるべく、サービス事業の拡充等を図りながら今日に至ったとのことでした(辛酉会ホームページ参照)。

このたびの当研究室の金谷哲平氏の辛酉優秀学生賞特別賞受賞は、政治も歴史もアカデミアも、様々な偶然や必然の縁があってつながっていく様を思い浮かべる機会となりました。