東北大学大学院生命科学研究科回路脳機能分野
兼・東北大学大学院医学系研究科回路脳機能分野

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竹下 龍生

Ryuki Takeshita

氏名:竹下 龍生(たけした りゅうき, Ryuki Takeshita)
現職:修士課程1年(生命)
所属:東北大学大学院生命科学研究科
    超回路脳機能分野(松井広研究室)
専門:光遺伝学、てんかん病態神経科学、免疫学
所在:片平キャンパス

学歴:

2024年3月 東京理科大学先進工学部生命システム工学科 卒業
       分子細胞免疫学研究室(指導教員:西山千春
       学士(工学)取得
2023年3月 東北大学大学院生命科学研究科
       修士課程入学
       超回路脳機能分野(指導教官:松井広

一言:

 端的に言えば、私の興味は「非神経細胞以外が脳情報処理や神経系疾患に影響を及ぼす現象」にあります。

 1906年にノーベル生理学・医学賞を受賞したCajalはGolgi染色を用いて神経細胞だけでなくグリア細胞の形態も観察し、彼はグリア細胞に単なる神経細胞の支持体以上の機能を予想していました。しかし、その後の脳科学・神経科学は脳情報処理の主体である神経細胞の形態や接続に傾倒し、発展してきました。他方で、 HodgkinとHuxleyが単一神経細胞の活動電位のモデル化に成功し1963年に同賞を受賞したのを皮切りに神経細胞や神経回路網のモデル化とシミュレーションが世界中で試されてきました。ところが、Mooreの法則に従い日進月歩で性能を向上させた集積回路と膨大な電力を要する最新鋭のスパコンを以てしても尚ヒト全脳レベルのシミュレーションは実現していません。私はこれら2つの問題、すなわち、非神経細胞の矮小化と非効率的な神経回路シミュレーションの間には強い因果関係があると以前から疑っています。同時に、効率的にエネルギーを使用し、荒い計算により閃きを生み、可塑的に変化し続け、ひいては“意識”や“心”をもたらす私たちの脳が“脳”たる為にはグリア細胞を含む非神経細胞のはたらきが不可欠なのではないかと考えてきました。

 近年重要性が強調されつつある免疫系と神経系の関係への興味から、東京理科大学では西山千春教授のご指導の下、亜麻仁油などに多く含まれる多価不飽和脂肪酸由来の腸内細菌代謝産物が樹状細胞等の免疫細胞に作用して自己免疫疾患を緩和するメカニズムの解明を目指し研究を行いました。脳内の免疫応答は主にミクログリアが担いますが、例えば過剰な免疫応答により脊髄や小脳の髄鞘等が損傷を受けることで生じる多発性硬化症はまさしく非神経細胞が神経系の機能を損なう現象であり、興味深いと感じていました。

 東北大学では松井広教授のご指導の下、神経細胞を構造的、エネルギー的に支持するグリア細胞であるアストロサイトが如何にして脳内環境を可塑的に変化させ、てんかん発作に関与するのかについて研究したいと考えています。てんかんは古くからよく知られる決して珍しくない脳疾患でありながら、依然として発症原因や発作終息のメカニズムが殆どわかっていません。私はこの謎多きてんかんの根底にもやはりグリア細胞を含む非神経細胞の影響が大きいと予想している為、当研究室の電気的・光学的解析手法を用いてアストロサイトがてんかん発作に関与する証拠を積み上げ、将来のてんかん発作の予防法や難治性てんかんの治療法確立に貢献出来るよう日々研鑽を積んで参ります。

発表論文

〇卒業論文(卒業研究)のタイトル
PUFA乳酸菌代謝産物γKetoCによる免疫制御
Molecular mechanisms by which 10-oxo-cis-6、 trans-11-octadecadienoic acid (γKetoC)、 a γ-linolenic acid-derived metabolite produced by gut lactic acid bacteria、 regulates immune responses
〇卒業研究の研究室名
東京理科大学先進工学部生命システム工学科
分子細胞免疫学研究室(指導教員:西山千春

ウェブ:

研究室ウェブサイト(竹下龍生)