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東北大学大学院生命科学研究科回路脳機能分野
兼・東北大学大学院医学系研究科回路脳機能分野

J Neurochem 2025 掲載記念

2025年03月20日

公刊学術研究論文発表
脳内エネルギーのダイナミクス
Furukawa, et al., J Neurochem 2025 特設ページ

上図では、血液中に含まれるエネルギー源をガソリンのようにとらえ、給油ホースの直径の調節を血管(左のネズミで表現)が担い、給油ノズルの調節をアストロサイト(真ん中のネズミで表現)が担い、神経細胞(右のネズミで表現)がバイクのアクセルをふかすことでエネルギーを消費している様子を表現しました。

脳内では、血管を通じて供給される血液中のグルコースと酸素が、エネルギー源として利用されます。アストロサイトはグルコースからピルビン酸を生成し、さらに乳酸に変換して神経細胞に受け渡します。神経細胞は、この乳酸を再びピルビン酸に変換し、ミトコンドリアを介してATPを産生します。

マウスの海馬を電気刺激すると、過剰な神経発振が引き起こされました。この際、アストロサイト内のピルビン酸濃度が上昇し、神経細胞内のATP濃度が減少しました。これは、神経細胞へのエネルギー供給に変化が生じたことを示唆しています。このように、血管‐アストロサイト‐神経細胞間の代謝エネルギーの供給と消費のダイナミクスによって脳機能は制御されています。そのため、代謝を調節することで脳の病態を治療する新たな戦略が期待されます。

本成果は2025年3月20日付で Journal of Neurochemistry 誌に掲載されました。

当研究室所属著者: 古川孝太生駒葉子松井広


Furukawa K, Ikoma Y, Niino Y, Hiraoka Y, Tanaka K, Miyawaki A, Hirrlinger J, Matsui K* (2025)
Dynamics of neuronal and astrocytic energy molecules in epilepsy.
Journal of Neurochemistry, 169: e70044.
DOI: https://doi.org/10.1111/jnc.70044
Altmetric score = 118 (current 2025.04.15)
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2025.03.20 Published Online
2025.03.21 日本神経化学会(準公式) X
2025.03.24 記者会見
2025.03.24 Press Release
東北大学 本部
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2025.03.24 日本経済新聞
2025.03.24 日本の研究.com X
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2025.03.24 Raw News
2025.03.24 研究最前線 日刊 知尋
2025.03.28 Altmetric J Neurochem Top #5

YouTube配信 Furukawa et al., J Neurochem 2025
イメージソング:エナジーダンス Energy Dance
※音声付き動画




研究紹介History

2026年05月22日 松井

第67回日本神経学会学術大会 招待講演

セッション:Neuroscience Frontier Symposium 02
「Multidisciplinary comprehensive epilepsyresearch in the world: from basic, AI to clinical domain」
日時:2026年5月22日(金) 14:30〜16:30(120分)
会場:第02会場(パシフィコ横浜 会議センター3F 301)
企画責任者:池田 昭夫(京都大学大学院医学研究科)
座長1:池田 昭夫(てんかん・運動異常生理学講座)
座長2:赤松 直樹(国際医療福祉大学医学部 脳神経内科)

Brian Litt(University of Pennsylvania)
「Engineering new technologies for treating epilepsy using networks, big data, atlases and AI」
松井 広(東北大学 大学院生命科学研究科 超回路脳機能分野)
「Ionic and metabolic plasticity driving the onset and evolution of epileptic seizures」
池田 昭夫(京都大学大学院医学研究科 てんかん・運動異常生理学講座)
「Human astrocyte and wide-band EEG in epilepsy: its utility and cortical spreading depolarization」
小泉 修一(山梨大学 医学部薬理学講座)
「Glia-mediated epileptogenesis: Sequential and cooperative roles of microglia and astrocytes」

講演では、当研究室で進めているてんかん脳病態に関する基礎研究の成果を中心に、最近発表した2報の論文内容を紹介しました(Araki et al., Glia 2024; Furukawa et al., J Neurochem 2025)。

今回のシンポジウムの企画責任者である池田昭夫先生とは、主に新学術領域研究「オシロロジー」を通じて知り合う機会をいただきました。記録を遡ると、2017年11月20日には京都大学にご招待いただき、セミナーをさせていただきました。それ以来、10年近くにわたり、池田先生とは交流を継続させていただいております。

当時、池田先生から、てんかん発作時の神経発振現象に先立って観察される「DCシフト現象」について教えていただきました。これを契機として、当研究室では、この現象とグリア細胞、特にアストロサイトとの関連をマウスモデルで検証したいと考えるようになりました。その後、蛍光ファイバーフォトメトリー法を用いて、生体内でアストロサイト活動を計測する方法を確立する過程で、さまざまな技術的改良を重ねてきました(Ikoma et al., Brain 2023a, b)。そして、約7年を経て、ようやく、てんかん発作に先立ってアストロサイト活動が光学的に検出されることを示す研究成果を得ることができました(Araki et al., Glia 2024)。今回の講演は、この成果を池田先生に直接ご報告する、大変良い機会となりました。

また、Dr. Brian Litt のご講演にも大変感銘を受けました。特に、低コストMRIの活用、EEG電極数を削減するための工夫、施設間で取得されたデータの標準化、さらにAIとスマートフォンを用いたEEG-human interface の取り組みは、非常に示唆に富むものでした。とりわけ、最後に示された、患者さんとAIがリアルタイムに対話するデモンストレーションは印象的でした。このようなアプローチは、患者さん自身が自らの疾患をより深く理解する助けとなるだけでなく、データアノテーションの改善にもつながり、さらに、疾患とともに生活するうえでの心理的負担の軽減にも貢献し得るものと感じました。

小泉修一先生とは、グリア研究を通じて、長年にわたり研究交流を持たせていただいております。今回のご講演では、グリア細胞の中でも、アストロサイトとミクログリアが、それぞれてんかん病態において重要な役割を果たしていることをご紹介いただきました。私たちの研究は、生理的現象の発見と、その定性的・定量的な記述に重点を置くことが多いのに対し、小泉先生の研究では、グリア細胞と神経細胞のあいだで信号がどのように伝わるのか、さらに、どのような分子がその過程に関与しているのかについて、精緻な解析が進められています。その研究の深さには、いつも大きな感銘を受けております。今回のシンポジウムでご一緒させていただいたことを機に、今後も引き続きご指導を賜りながら、グリア研究の発展に向けて学びを深めていきたいと感じました。

Araki S, Onishi I, Ikoma Y, Matsui K* (2024)
Astrocyte switch to the hyperactive mode.
Glia, 72: 1418-1434.
https://doi.org/10.1002/glia.24537
特設ページ

Furukawa K, Ikoma Y, Niino Y, Hiraoka Y, Tanaka K, Miyawaki A, Hirrlinger J, Matsui K* (2025) Dynamics of neuronal and astrocytic energy molecules in epilepsy. Journal of Neurochemistry, 169: e70044.
https://doi.org/10.1111/jnc.70044
特設ページ


2025年04月14日

3Ⅾアストロ君と研一くん。

Furukawa, et al., J Neurochem 2025 特設ページ
3Dプリンター購入記念として、博士課程1年次の今井健さんがアストロ君を3D化してくれました。古川孝太さんの筆頭著者論文(Furukawa et al., J Neurochem 2025)発表記念のマグカップの中から研一君と一緒に記念撮影です。


2025年02月06-07日 松井

学術変革「グリアデコーディング」最終班会議

令和2年度~6年度 学術変革領域研究(A)「グリアデコーディング:グリアデコーディング:脳-身体連関を規定するグリア情報の読み出しと理解」(研究代表:岡部繁男)の最終班会議が東京大学 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホールで開催されました。本領域では、A01 グリア・神経ネットワークの統合による脳機能発現 のなかで、田中謙二計画班員のもとで、分担研究者を務めさせていただきました。今回の最終会議では、田中謙二先生と松井広とで半分ずつの時間を使って口頭発表をいたしました。

田中謙二、松井広
グリア・神経ネットワークの統合による脳内エネルギー代謝機構.学術変革領域(A)「グリアデコード」最終班会議,東京大学,2025年02月06日

※松井広の発表で取り上げた主な論文:
 Sasaki et al. eLife 2024
 Furukawa et al. unpublished, submitted


2025年01月20日

博士論文最終試験 古川孝太

令和6年度、当研究室所属の古川孝太さんの博士論文最終試験が実施されました。古川孝太さんは、2020年04月 東北大学の当研究室に修士課程で入学し、未来型医療創造卓越大学院プログラム(FM)の第二期生としても採択され、2022年より博士後期課程に進学しました。2024.11.25にはFMのQE2も実施し、5年一貫の大学院課程を経て、いよいよ卒業間近です!


2024年11月25日 古川

未来型医療創造卓越大学院プログラム QE2

当分野所属で未来型医療創造卓越大学院プログラム(Future Medicine; FM)の第二期生の古川孝太氏の Quality Exam 2 (QE2) が実施されました。オンライン審査会で20分の発表と10分の質疑応答。専門外の審査員にも分かりやすく、マウスを使った基礎研究の内容を伝えることができました。

古川孝太 FM QE2
「てんかんにおける脳内エネルギー動態変化」


2024年11月14-15日 古川

生命系卓越大学院共創シンポジウム2024

当研究室の古川孝太氏が、未来型医療創造卓越大学院プログラムの一環として、名古屋大学の野依記念交流館で開催された名古屋、大阪、京都、東北大学の4大学合同、「生命系卓越大学院共創シンポジウム2024」に参加しました。14日はポスター発表、15日はワークショップで、AIや技術の発展によって未来の医療ではどのようなことが起こると想定されるかについてグループに分かれて議論、発表しました。


2023年01月17日 古川

未来型卓越 冬祭り ポスター発表

当研究室の古川孝太氏は、東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラムの履修生(2期生)です。このたびの冬祭りでは、「脳神経エネルギー動態の病態変化」のタイトルでポスター発表を行いました。
会場: 星陵会館1階エントランスホール


2022年03月16日~18日

第99回 日本生理学会大会@仙台

Poster Presentations
Furukawa K, Matsui K* (2022) Changes in ATP energy dynamics in the brain. Annual Meeting of The Physiological Society of Japan, Sendai, Japan.


2022年02月01日 古川

令和3年度 東北大学大学院生命科学研究科 修士論文最終試験
古川孝太
「脳神経ATPエネルギー動態の病態変化」

超回路脳機能分野の古川孝太さんの東北大学大学院生命科学研究科修士論文最終試験がオンライン実施されました。今年は、新型コロナ禍の影響で、急遽、完全オンライン審査になりました。試験日当日の最終時間帯に当研究室の修士課程学生二人続けての発表でしたので、少し余裕を持って実施できました。未来型医療創造卓越大学院プログラムの特徴を取り入れた修士課程とすることができました。


2021年08月05日 古川

第2回 グリアデコード班会議

古川 孝太, 松井 広*「てんかん神経エネルギー制御」
第2回 グリアデコード班会議, 名古屋, 8月, 2021.
[ポスター,オンサイト開催]


2021年07月28日~31日 古川

第44回 日本神経科学会大会.

Furukawa K, Matsui K* (2021) Energy management in neurons upon epilepsy. The Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society, Kobe, Japan.


2021年03月28日~30日 古川

第98回 日本生理学会大会(Web開催)

Furukawa K, Matsui K* (2021) Energizing epilepsy. Annual Meeting of The Physiological Society of Japan, Nagoya, Japan (Web).