東北大学大学院生命科学研究科回路脳機能分野
兼・東北大学大学院医学系研究科回路脳機能分野

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古川 孝太

Secret1

氏名:古川 孝太(ふるかわ こうた, Kota Furukawa)
現職:(松井研最終記録)博士課程修了
所属:東北大学大学院生命科学研究科
    超回路脳機能分野(松井広研究室)
専門:動物行動学、エゾジカ追跡、熟成肉、脳内エネルギー
所在:片平キャンパス

学歴:

2020年03月 北見工業大学工学部電気電子工学科卒業
       学士(工学)取得
2020年04月 東北大学大学院生命科学研究科
       修士課程入学
       超回路脳機能分野(指導教官:松井広
2022年03月 同 修士課程修了 修士(生命科学)取得
2022年04月 同 博士課程進学
2025年03月 同 博士課程修了 博士(生命科学)取得

職歴・経歴:

2020年10月 東北大学 未来型医療創造卓越大学院プログラム
       第二期生

「生体代謝エネルギー分子動態と脳内情報処理機構の連関」

2022年04月 次世代研究者挑戦的研究プログラム 採択

「生体代謝エネルギー分子動態と脳内情報処理機構の連関」

2025年04月 企業就職

▲(以上、松井研での最終記録。以降、更新なし。)▲


一言:

私は、生き物の「こころ」がどのように生まれるのかに興味があります。進化の上、生き物は「こころ」を持つようになったと考えられますが、「こころ」は生き物にとってどのような役割があるのかも知りたいと考えています。

脳は、こころや意識に最も関係の深い臓器です。また、進化上、人間は脳を大きく発達させてきたと言われていますが、実は、脳は、体重の2%しかありません。しかし、体内のエネルギーの実に20%を消費することが知られています。発達させてきたのは、単に脳の重さではなく、脳の情報処理能力であり、それにともない、物理的には何もしないはずの脳は、膨大なエネルギーを費やすことになったのだと考えられます。

とはいえ、アルファ碁が消費する125万ワットの電力に比べ、ヒトの脳の消費エネルギーは思考時でも21ワット相当であると言われています。現代の計算機とは比べ物にならないくらい、エネルギー効率の良い計算が脳内では行われています。一方、脳に血流が滞ると1分以内に意識が失われることも知られています。常に、脳内にエネルギーが届けられていないと、「意識」といった高度な情報処理体制を維持することができないことが分かります。このエネルギーを効率良く、スマートデリバリーしている存在こそが、脳内の半分以上を占めるグリア細胞であると考えられています。

脳内に酸素とエネルギーを供給する血管と、エネルギーを消費して情報処理を担う神経細胞の間には、必ずグリア細胞があります。グリア細胞こそが、脳内エネルギーを効果的に分配している存在であり、脳内情報処理の性質、特性を左右するのもグリア細胞である可能性があります。いわば、脳内における「こころ」の状態を左右し、神経細胞とは異なった次元で情報処理に参加しているのがグリア細胞なのかもしれません。私は、このグリア細胞に着目して研究を行うことで、こころの実態に少しでも近づけることができればと考えています。それと同時に、てんかんなどの脳の疾患とグリア細胞の機能異常/機能不全との関連性を見出したいと思っています。このような臨床への応用も常に意識しながら、研究を進めていきます。

以前、所属していた北見工業大学では、比較的安価に取引される牛もも肉の高付加価値化を目指し、牛肉の熟成方法に関する研究を行いました。東北大学の大学院に進学し、超回路脳機能分野にて脳の研究、そして、グリア細胞の研究を始めることになりましたが、これは、私にとって、新たな研究分野への挑戦です。

データを「計測」して、実験系に実験的な「操作」を加える。研究対象が脳であっても、気象であっても、動物の集団的な行動であっても、何らかの複雑系を理解しようとする時、サイエンスの採る戦略は同じです。現所属研究室では、脳内の活動を電気的・光学的に計測する手段があり、また、脳内活動をオプトジェネティクスを用いて操作する手段もあります。また、理学的な観点ではなく、工学的な観点では、実験対象を理解するだけではなく、系に人為的に介入することで、対象の新たな状態を創造することも目指します。こういった、工学部出身ならではの観点やこれまでの経験を活かし、新しい視点で、脳を理解し、脳を治療し、新たな脳の状態を創造する研究を創り出していくことを目指します。

趣味は、野球とラジオとサイクリングです。


2025年03月20日

公刊学術研究論文発表
脳内エネルギーのダイナミクス
Furukawa, et al., J Neurochem 2025 特設ページ

上図では、血液中に含まれるエネルギー源をガソリンのようにとらえ、給油ホースの直径の調節を血管(左のネズミで表現)が担い、給油ノズルの調節をアストロサイト(真ん中のネズミで表現)が担い、神経細胞(右のネズミで表現)がバイクのアクセルをふかすことでエネルギーを消費している様子を表現しました。

脳内では、血管を通じて供給される血液中のグルコースと酸素が、エネルギー源として利用されます。アストロサイトはグルコースからピルビン酸を生成し、さらに乳酸に変換して神経細胞に受け渡します。神経細胞は、この乳酸を再びピルビン酸に変換し、ミトコンドリアを介してATPを産生します。

マウスの海馬を電気刺激すると、過剰な神経発振が引き起こされました。この際、アストロサイト内のピルビン酸濃度が上昇し、神経細胞内のATP濃度が減少しました。これは、神経細胞へのエネルギー供給に変化が生じたことを示唆しています。このように、血管‐アストロサイト‐神経細胞間の代謝エネルギーの供給と消費のダイナミクスによって脳機能は制御されています。そのため、代謝を調節することで脳の病態を治療する新たな戦略が期待されます。

本成果は2025年3月20日付で Journal of Neurochemistry 誌に掲載されました。

当研究室所属著者: 古川孝太生駒葉子松井広


Furukawa K, Ikoma Y, Niino Y, Hiraoka Y, Tanaka K, Miyawaki A, Hirrlinger J, Matsui K* (2025)
Dynamics of neuronal and astrocytic energy molecules in epilepsy.
Journal of Neurochemistry, 169: e70044.
DOI: https://doi.org/10.1111/jnc.70044
Altmetric score = 118 (current 2025.04.15)
Top 2% of out of all articles searched.
Top 0.3% of outputs from J Neurochem (8053).

2025.03.20 Published Online
2025.03.21 日本神経化学会(準公式) X
2025.03.24 記者会見
2025.03.24 Press Release
東北大学 本部
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東北大学 大学院生命科学研究科
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2025.03.24 日本経済新聞
2025.03.24 日本の研究.com X
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2025.03.24 EurekAlert!
2025.03.24 AlphaGalileo
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2025.03.24 asia research news
2025.03.24 The National Tribune
2025.03.24 MedicalXpress
2025.03.24 Raw News
2025.03.24 研究最前線 日刊 知尋
2025.03.28 Altmetric J Neurochem Top #5

YouTube配信 Furukawa et al., J Neurochem 2025
イメージソング:エナジーダンス Energy Dance
※音声付き動画


2025年01月20日

博士論文最終試験 古川孝太

令和6年度、当研究室所属の古川孝太さんの博士論文最終試験が実施されました。古川孝太さんは、2020年04月 東北大学の当研究室に修士課程で入学し、未来型医療創造卓越大学院プログラム(FM)の第二期生としても採択され、2022年より博士後期課程に進学しました。2024.11.25にはFMのQE2も実施し、5年一貫の大学院課程を経て、いよいよ卒業間近です!


2024年11月25日 古川

未来型医療創造卓越大学院プログラム QE2

当分野所属で未来型医療創造卓越大学院プログラム(Future Medicine; FM)の第二期生の古川孝太氏の Quality Exam 2 (QE2) が実施されました。オンライン審査会で20分の発表と10分の質疑応答。専門外の審査員にも分かりやすく、マウスを使った基礎研究の内容を伝えることができました。

古川孝太 FM QE2
「てんかんにおける脳内エネルギー動態変化」


2024年11月15-16日 古川

大学院改革フォーラム2024

当研究室の古川孝太氏が、未来型医療創造卓越大学院プログラムの一環として、名古屋大学の豊田講堂で開催された「大学院改革フォーラム2024」を聴講しました。修了した卓越大学院生の話を聞いたり、大学、政府、企業に対する学生による「博士が社会でより活躍するための提言」を聞きました。


2024年11月14-15日 古川

生命系卓越大学院共創シンポジウム2024

当研究室の古川孝太氏が、未来型医療創造卓越大学院プログラムの一環として、名古屋大学の野依記念交流館で開催された名古屋、大阪、京都、東北大学の4大学合同、「生命系卓越大学院共創シンポジウム2024」に参加しました。14日はポスター発表、15日はワークショップで、AIや技術の発展によって未来の医療ではどのようなことが起こると想定されるかについてグループに分かれて議論、発表しました。


2023年01月17日 古川

未来型卓越 冬祭り ポスター発表

当研究室の古川孝太氏は、東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラムの履修生(2期生)です。このたびの冬祭りでは、「脳神経エネルギー動態の病態変化」のタイトルでポスター発表を行いました。
会場: 星陵会館1階エントランスホール


2022年04月01日 古川

祝!次世代研究者挑戦的研究プログラム 採択
東北大学高等大学院博士後期課程学生挑戦的研究支援プロジェクト
古川孝太
  2022~2024年度 採択
  次世代研究者挑戦的研究プログラム
  (+未来型医療創造卓越大学院プログラム)
  生体代謝エネルギー分子動態と脳内情報処理機構の連関


2022年03月25日 古川

超回路脳機能分野・古川孝太氏 - 修士(生命科学)

東北大学大学院生命科学研究科から、古川孝太氏に修士号の学位が授与されました(+超回路脳機能分野特設の非公式 sMLS; Super Master of Life Sciences)。このまま博士課程に進学し、未来型医療創造卓越大学院プログラム履修生として、当研究室での研究を発展させていく予定です


2022年03月16日~18日

第99回 日本生理学会大会@仙台

Poster Presentations
Furukawa K, Matsui K* (2022) Changes in ATP energy dynamics in the brain. Annual Meeting of The Physiological Society of Japan, Sendai, Japan.


2022年02月01日 古川

令和3年度 東北大学大学院生命科学研究科 修士論文最終試験
古川孝太
「脳神経ATPエネルギー動態の病態変化」

超回路脳機能分野の古川孝太さんの東北大学大学院生命科学研究科修士論文最終試験がオンライン実施されました。今年は、新型コロナ禍の影響で、急遽、完全オンライン審査になりました。試験日当日の最終時間帯に当研究室の修士課程学生二人続けての発表でしたので、少し余裕を持って実施できました。未来型医療創造卓越大学院プログラムの特徴を取り入れた修士課程とすることができました。


2021年08月05日 古川

第2回 グリアデコード班会議

古川 孝太, 松井 広*「てんかん神経エネルギー制御」
第2回 グリアデコード班会議, 名古屋, 8月, 2021.
[ポスター,オンサイト開催]


2021年07月28日~31日 古川

第44回 日本神経科学会大会.

Furukawa K, Matsui K* (2021) Energy management in neurons upon epilepsy. The Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society, Kobe, Japan.


2021年03月28日~30日 古川

第98回 日本生理学会大会(Web開催)

Furukawa K, Matsui K* (2021) Energizing epilepsy. Annual Meeting of The Physiological Society of Japan, Nagoya, Japan (Web).


2020年10月01日 古川

祝!古川孝太未来型医療創造卓越大学院プログラム
  QE0合格・プログラム候補生(Technologyコース)として採択
  生体代謝エネルギー分子動態と脳内情報処理機構の連関

2020年09月17日 古川

マラソンの古川

身体の代謝機能は脳内情報処理にどのような影響を与えるのか。竜泉寺の湯までの実践的なマラソンで ATP を消費して、大盛りでの回復過程を楽しみます。光ファイバーのドレッドヘアで表紙を飾ることを目指します。


2020年08月23日 古川

古川孝太、Vivo仏陀を完成・稼働開始。

どこまで狭い空間で実験ができるか、驚異の省スペースで時空間を歪めることに成功しました。脳の代謝と情報のクロストーク。古川氏は、松井研の中心テーマのひとつに取り組んでいます。



発表論文

  1. Furukawa K, Ikoma Y, Niino Y, Hiraoka Y, Tanaka K, Miyawaki A, Hirrlinger J, Matsui K* (2025) Dynamics of neuronal and astrocytic energy molecules in epilepsy.
    Journal of Neurochemistry, 169: e70044.
    DOI: https://doi.org/10.1111/jnc.70044

    特設ページ

  2. Onodera M, Meyer J, Furukawa K, Hiraoka Y, Aida T, Tanaka K, Tanaka KF, Rose CR, Matsui K* (2021) Exacerbation of epilepsy by astrocyte alkalization and gap junction uncoupling.
    Journal of Neuroscience, 41: 2106-2118.

博士論文 2025年3月
てんかんにおける脳内エネルギー動態変化
東北大学 博士(生命科学)号取得 古川孝太

修士論文 2022年3月
脳神経ATPエネルギーの病態変化
東北大学 修士(生命科学)号取得 古川孝太


学会・研究会活動履歴:

  1. Furukawa K, Matsui K* (2024) Brain energy management upon epilepsy. 生命系卓越大学院共創シンポジウム2024, Nagoya, Japan, 2024年11月.

  2. Furukawa K, Matsui K* (2022) Changes in ATP energy dynamics in the brain. Annual Meeting of The Physiological Society of Japan(第99回 日本生理学会大会), Sendai, Japan, 2022年3月.

  3. 生駒 葉子, 荒木 峻, 古川 孝太, 松井 広*
    迷走神経刺激による中枢脳内環境制御
    第74回 日本自律神経学会総会, オンライン開催, 10月, 2021年.
    [口頭発表]

  4. 古川 孝太, 松井 広*「てんかん神経エネルギー制御」
    第2回 グリアデコード班会議, 名古屋, 8月, 2021.
    [ポスター,オンサイト開催]

  5. Furukawa K, Matsui K* (2021) Energy management in neurons upon epilepsy. The Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society(第44回 日本神経科学大会), Kobe, Japan, 2021年7月.

  6. Furukawa K, Matsui K* (2021) Energizing epilepsy. Annual Meeting of The Physiological Society of Japan(第98回 日本生理学会大会), Nagoya, Japan (Web), 2021年3月.

  7. Terukatsu Murata, Kota Furukawa, Masaru Sato, Mayumi B. Takeyama
    新規熟成方法によるエゾ鹿肉のおいしさ測定.
    電子情報通信学会(IEICE)北海道支部 学生会, 2020年2月, インターネットシンポジウム

ウェブ:

研究室ウェブサイト(古川孝太)