東北大学大学院生命科学研究科回路脳機能分野
兼・東北大学大学院医学系研究科回路脳機能分野

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道念 佑樹

Yuki Donen

氏名:道念 佑樹(どうねん ゆうき, Yuki Donen)
現職:博士課程2年(生命)
所属:東北大学大学院生命科学研究科
    超回路脳機能分野(松井広研究室)
専門:時間、特殊相対性理論、意識、グリア細胞、哲学
所在:片平キャンパス

学歴:

2021年03月 北海道大学 理学部 生物科学科 生物学専修分野 卒業
       学士(理学) 取得
2021年04月 東北大学 大学院生命科学研究科
       修士課程 入学
       超回路脳機能分野(指導教官:松井広
2023年03月 同 修士課程修了 修士(生命科学)取得
2023年04月 同 博士課程進学

職歴・経歴:

2021年10月 東北大学 国際共同大学院プログラム
       Neuro Global Program 第四期生
       「脳内ステートが左右する神経情報処理の制御機構」
2023年04月 次世代研究者挑戦的研究プログラム 採択
       「脳内ステートが左右する神経情報処理の制御機構」

一言:

 かつて、ニュートンはこの世界に流れる時間は一様であると考え、この時間を絶対時間と表現しました。後にニュートンの考えはアインシュタインの特殊相対性理論によって覆され、この世界に流れる時間は観測者の状態に依存する、相対時間であるということが知られることとなりました。世界に流れる時間は絶対時間ではなく相対時間である、この話を初めて目にしたとき、私は非常に大きな驚きに包まれました。それと同時に、この宇宙に流れる相対時間とは別の相対時間が、私たち生物の意識に存在するのではないかと考えました。

 仮に数学が好きなAさんと嫌いなBさんがいて、この二人が同じ教室で、同じ数学の講義を受けたとしましょう。この二人は時計が刻む時間の上では同じ長さの時間を過ごしていますが、彼らが主観的に感じた時間の長さはどうなっているでしょうか。数学が好きなAさんは講義に熱中していたらあっという間に時間が過ぎたと、一方で数学が嫌いなBさんは講義の時間が長かった感じたのではないでしょうか。このような体感時間と世界に流れる時間が乖離する経験を誰しもしたことがあることと思います。体感時間は置かれた状況や気分、つまり観測者の状態によって刻々と変わっていくのです。私はこれも相対時間の一つなのではないかと考えました。

 なぜ、生物の意識に流れる時間は一様ではないのか。この疑問を解き明かすためには、生物の意識を生み出している脳を探る必要があります。脳は大まかに分けて神経細胞とグリア細胞という二種類の細胞から構成されています。神経細胞は電気信号と化学信号を用いることで、生物が得た様々な情報を処理し、必要な場所に伝達しています。一方、グリア細胞は神経細胞の活動をサポートしているだけだと長く考えられてきました。しかしながら、近年、神経細胞とグリア細胞との間で相互的な情報のやり取りが行われていることが明らかにされてきました。そうした知見を踏まえて、神経細胞とグリア細胞が作り出す大きなネットワークにこそ、意識上の相対時間が存在するのではないかという仮説を持つに至りました。そして私はこのことを解き明かすべく、松井広教授の下で、生物の活動状態、意識の状態の変化に伴って神経細胞とグリア細胞のネットワークの活動がどのように変化するのかについて研究して行く予定です。

 「楽しい時間が早く過ぎ、退屈な時間は長く感じる。」ということを、誰しもが経験的に知り、そして受け入れていることでしょう。しかし私は「なぜ楽しい時間は長く、退屈な時間は早く過ぎないのか。」と疑問を抱かずにはいられませんでした。そして、私たちの時間感覚におけるこの非常に酷な経験が事実ならば、どのようなメカニズムによって私たちはそう感じるのか、なぜそう感じるような進化を私たちは遂げてきたのか、これらの疑問を自らの手で解き明かしたいと考えるようになりました。

 つい最近まで、こうした抽象的な問いは哲学の領域でした。しかし、技術が発展し様々な知識が集積してきた今、かつては哲学の領域にあった問いに対し、神経科学の手法を用いることで実証的に挑むことができます。そんな時代において、時間感覚をはじめとした、人類に共通する哲学的かつ根源的な問いを神経科学の知見から解き明かしていく研究者になることを私は目標としています。

2023年04月01日 道念

祝!次世代研究者挑戦的研究プログラム 採択
東北大学高等大学院博士後期課程学生挑戦的研究支援プロジェクト
道念佑樹
  2023~2025年度 採択
  次世代研究者挑戦的研究プログラム
  (+国際共同大学院 Neuro Global Program)
  脳内ステートが左右する神経情報処理の制御機構


2023年03月24日 道念

学位授与
超回路脳機能分野・道念佑樹氏 - 修士(生命科学)

東北大学大学院生命科学研究科から、道念佑樹氏に修士号の学位が授与されました(+超回路脳機能分野特設の非公式 sMLS; Super Master of Life Sciences)。道念氏は博士課程に進学し、当研究室での研究を発展させていく予定です。


2023年02月03日 道念

令和4年度 生命科学研究科博士課程前期2年の課程 最終試験

論文題目:「脳内信号処理特性の概日制御機構の解明」
東北大学 大学院生命科学研究科 超回路脳機能分野の道念佑樹氏の修士論文発表会が、久々のオンサイトで実施されました。当分野の松井広が主査を務め、当研究科の計5名での最終試験の審査が行われました。道念氏は、Neuro Global Program の履修生でもあり、2023年4月からは博士後期課程に進学することを予定しています。時の旅人としてのますますの活躍が期待されます。


2022年06月30日~07月03日 道念

第45回 日本神経科学大会@沖縄

2022.07.02
Donen Y, Matsui K* (2022) Basic properties of cortical wave of neuronal signals are governed by the state of the brain. The Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society, Okinawa, Japan.


2022年03月16日~18日 道念

第99回 日本生理学会大会@仙台

Donen Y, Matsui K* (2022) Brain state effects on cortical signal transmission. Annual Meeting of The Physiological Society of Japan, Sendai, Japan.


2021年10月01日 道念

祝!道念佑樹国際共同大学院プログラム Neuro Global
  QE0合格・プログラム候補生として採択
  脳内ステートが左右する神経情報処理の制御機構

2021年08月05日 道念

第2回 グリアデコード班会議

道念 佑樹, 松井 広*「時と共に移りゆく神経信号の波(ウェーブ)」
第2回 グリアデコード班会議, 名古屋, 8月, 2021.
[ポスター,オンサイト開催]


2021年05月26日 道念

時の旅人・道念

マウス・ラット脳内に刺入した光ファイバーを使って、"時"を自在に操ります。我々に自由意思はないかもしれないけど、時々キメるスマッシュで、タブラ・ラサに自由に書き込みます。



発表論文

修士論文 2023年3月
脳内信号処理特性の概日制御機構の解明
東北大学 修士(生命科学)号取得 道念佑樹


学会発表

  1. Donen Y, Matsui K* (2022)
    Basic properties of cortical wave of neuronal signals are governed by the state of the brain.
    The Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society(第45回 日本神経科学大会), Okinawa, Japan, 2022.06.

  2. Donen Y, Matsui K* (2022)
    Brain state effects on cortical signal transmission.
    Annual Meeting of The Physiological Society of Japan(第99回 日本生理学会大会), Sendai, Japan, 2022.03.

  3. 道念 佑樹, 松井 広*「時と共に移りゆく神経信号の波(ウェーブ)」
    第2回 グリアデコード班会議, 名古屋, 8月, 2021.
    [ポスター,オンサイト開催]

ウェブ:

研究室ウェブサイト(道念佑樹)