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東北大学大学院生命科学研究科回路脳機能分野
兼・東北大学大学院医学系研究科回路脳機能分野

Neuroscience Research 2024 掲載記念

2024年02月02日

公刊学術研究論文発表
マーブル・ブルーの不安感:手綱核アストロサイトによる神経活動制御の解明
Tan et al., Neuroscience Research 2024 特設ページ

私たちは、えも言われぬ不安感に襲われることがあります。これは潜在的な危険を無意識に察した結果と言えます。したがって、適度な不安は生存に有利ですが、不安が過剰になると適応障害にもつながります。東北大学大学院生命科学研究科超回路脳機能分野の譚婉琴(たんえんきん)大学院生(学際高等研究教育院 博士教育院生)、松井広(まついこう)教授らのグループは、実験動物のマウスを用いて、脳の手綱(たづな)核のアストロサイトが不安の程度を左右することを発見しました。

マーブル(ガラス玉)を床一面に敷き詰められると、マウスは不安(ブルー)になります。このような不安環境のもとでは、手綱核でシータ波の神経活動が生じ、アストロサイトの細胞内pHは酸性化することが分かりました。そこで、手綱核アストロサイトのpHを人為的にアルカリ化に光操作すると、シータ波の神経活動が弱まり、マウスの不安レベルも緩和されました。

不安障害の新たな治療戦略として、手綱核アストロサイトの機能に影響を与える薬が開発される可能性があります。私たちが、健康で豊かな生活を営んでいく上で、「不安」という感情の持つメリットとデメリットを理解する必要があります。今後の研究を通して、不安のレベルをコントロールする脳内メカニズムが解明されれば、私たちが、上手に「不安」と付き合っていく道が拓けることが期待されます。本研究成果は2024年02月02日付で、脳科学分野の専門誌Neuroscience Researchに掲載されました。

本研究で用いた、アルブミン-mScarletを用いた血管造影技術は、コペンハーゲン大学(デンマーク)の平瀬肇教授との国際共同研究により導入し、群馬大学の今野歩講師、平井宏和教授の協力により、アルブミン-mScarletの発現を可能にするアデノ随伴ウイルスの設計・作出が得られました。

著者: 譚婉琴(東北大)、生駒葉子(東北大)、高橋佑輔(東北大)、今野歩(群馬大)、平井宏和(群馬大)、平瀬肇(コペンハーゲン大)、松井広(東北大)


Tan W, Ikoma Y, Takahashi Y, Konno A, Hirai H, Hirase H, Matsui K* (2024) Anxiety control by astrocytes in the lateral habenula.
Neuroscience Research, available online, Feb 2, 2024.
DOI: https://doi.org/10.1016/j.neures.2024.01.006
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2024.02.02 Published Online
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研究紹介History

2024年06月20日 松井

月刊細胞 特集:グリアは神経回路機能の主役か?
松井 広(2024)シータとサン:グリア細胞による神経調律機能
細胞, 56 (8): 575-578.

    マウスの脳の活動を記録する技術を確立してから、ある現象が私たちの前に繰り返し浮かび上がった。シータとサンである。レム睡眠時の視床下部、不安に感じた時の手綱核、ケンカ状態からの相互離脱時の小脳虫部で、神経細胞のシータ帯域(5-10 Hz)の活動に出会った。神経細胞だけではつまらないので、グリア細胞の活動も同時に計測するために蛍光カルシウムセンサーをグリア細胞に発現させてみた。すると、カルシウムを光計測しているつもりが、いつの間にか、pHを計測していた。上記場面で、今度は、グリア細胞の酸性化に出くわした。オプトジェネティクスで有名なChR2とArchT。これは、細胞内を酸性化・アルカリ化するツールである。グリア細胞に発現させたこれらの分子を光刺激すると、シータ波が影響され、マウスの行動が変化した。どうやらグリア細胞の酸(サン)には、神経細胞の奏でる曲(シータ)を調律する役割があるようであった。

※本総説で取り上げた主な論文:
 Ikoma et al. Brain 2023b
 Tan et al., Neurosci Res 2024
 Asano et al., Neurosci Res 2024


2024年01月29日 

令和5年度 博士論文最終試験



東北大学 大学院生命科学研究科 超回路脳機能分野
譚 婉琴
「不安を司る脳内機構:手綱核アストロサイトによる神経活動制御の解明」


2023年08月01-04日 

第46回 日本神経科学大会 @ 仙台

The 46th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society
Aug 1-3, 2023, Sendai, Japan


2023年8月2日(水) 10:45 〜 11:45 ポスター会場 (展示棟)
ポスター | F. 動機づけ・情動・意思決定
[2Pm] 気分と不安
[2Pm-074] 手綱核グリア細胞機能操作による不安制御機構の解明
譚 婉琴1、松井 広1 (1. 東北大学大学院生命科学研究科)



2022年03月16日~18日 

第99回 日本生理学会大会@仙台

Poster Presentations
Tan W, Matsui K* (2022) Astrocytic control of anxiety. Annual Meeting of The Physiological Society of Japan, Sendai, Japan.


2021年08月05日 

第2回 グリアデコード班会議

譚婉琴, 相澤秀紀* / 譚婉琴, 松井広*「不安と気持ちのグリア光制御」
第2回 グリアデコード班会議, 名古屋, 8月, 2021.
[ポスター,オンサイト開催]