東北大学大学院生命科学研究科回路脳機能分野
兼・東北大学大学院医学系研究科回路脳機能分野

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陳 俊宇

Ken Imai

氏名:陳 俊宇(ちん しゅんう, Junyu Chen)
現職:修士課程2年(生命)
所属:東北大学大学院生命科学研究科
    超回路脳機能分野(松井広研究室)
専門:細胞・分子生物学、免疫組織染色、形態学分析、動物行動実験、うつ病モデルの作製・評定
所在:片平キャンパス

学歴:

2023年3月 東洋大学生命科学部生命科学科 卒業
       分子神経生物学研究室(指導教員:児島伸彦
       学位(生命科学)取得
2023年3月 東北大学大学院生命科学研究科
       修士課程入学
       超回路脳機能分野(指導教官:松井広

職歴・経歴:

2023年10月
 東北大学 国際共同大学院プログラム
 Neuro Global Program 第六期生
 「迷走神経刺激を介した脳高次機能の制御におけるアストロサイトの役割の解明」

一言:

 紀元前5世紀、ギリシャの医者・ヒポクラテスが、心は脳にあると提唱した。以来、人間の脳に対する研究は2500年に及ぶ。しかし、この長大な歴史を経て、脳研究はどれほど発展したと言えるのだろうか。例えば、うつ病や認知症などの脳病態は、心身機能連関の不調やグリア細胞の機能不全などに由来する可能性がある、という今となっては簡単で概括な結論ですら、実に多くの研究者らが半世紀にわたって一緒懸命に探究した結果、ようやくたどり着いた考えであると言える。脳は、極めて複雑な回路で構築されており、神経細胞のみならず、グリア細胞や血管、そして、迷走神経等を介して身体とつながって、はじめて、心の複雑な機能は生まれていると考えられる。脳の機能と心のメカニズムを完全に明らかにするには、今後、何世紀にも渡る人類による努力が必要であることは間違いない。

 私は、東洋大学の分子生物神経科学・児島伸彦教授研究室に学部で在籍した。児島研究室では、うつ病の発症過程におけるミクログリアの役割について研究をした。脳を構成する細胞のうち、半数近くは、神経細胞とは性質の異なるグリア細胞である。これまで、グリア細胞は、神経細胞間の“膠”に過ぎないと考えられてきた。しかし、例えば、グリア細胞のうちでもミクログリアは、神経細胞に対して様々な働きかけをしており、うつ病を促進する方向にも、神経保護に働く作用もあることが明らかになってきた。また、グリア細胞の中でも半分以上を占めるアストロサイトは、脳内恒常性を司る主要細胞であり、脳内代謝やエネルギーの受け渡しに大きな役割がある。また、血管と神経細胞の間には、必ずアストロサイトがあるため、脳と身体をつなぐ境界(インターフェース)の役割も果たすとも言える。身体と脳とをつなぐ経路には、血管系と末梢神経とが考えられる。脳神経回路は、身体の代謝系や免疫系と独立しているわけではなく、脳内情報処理は身体の影響を強く受けると考えている。

 東北大学大学院生命科学研究科に入学した後は、超回路脳機能分野の松井広教授のご指導のもと、心身機能連関についての研究を焦点とし、迷走神経刺激を介した脳高次機能の制御におけるアストロサイトの役割の解明に挑戦する。私のグリア細胞に対する興味は、ミクログリアの研究を起点としているが、今後は、アストロサイトなどの他のグリア細胞の未知な役割も、一歩一歩、解明していきたいと考えている。最終的には、中枢神経系におけるグリア細胞の全般的な役割と、グリア細胞-神経細胞の相互作用を解明することを目指し、研究に励んで行きたい。


2024年02月19日-03月01日

国際共同大学院プログラム Neuro Global Program (NGP)

アカデミック英語集中講義 特設サイト

英国 Leicester 大学から2名の講師として招いて開催しました。新型コロナ禍により3年連続でのオンラインでの開催を経て、久々のオンサイト仙台での対面での英語講義を復活させました。
講師:
Michael Hughes, Leicester 大学
Lee Fairclough, Leicester 大学
学内授業担当教員:
松井広(NGP英語担当)


2023年09月01日 

祝!国際共同大学院 Neuro Global Program 採択


陳 俊宇
  2023~2027年度 採択
  迷走神経刺激を介した脳高次機能の制御におけるアストロサイトの役割の解明

2023年度入学の新入生3名の全て、修士課程2年+博士後期課程3年間を含んだ長期的な奨学金を獲得することができました。未来型医療創造卓越大学院プログラムには今井健氏、国際共同大学院プログラム Neuro Global Program には、陳俊宇氏と原田航佑氏が採択されました。


2023年08月01,02日 

第46回 日本神経科学大会 @ 仙台

The 46th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society
Aug 1-3, 2023, Sendai, Japan
陳 俊宇(Junyu Chen)
現所属・東北大学大学院生命科学研究科超回路脳機能分野
旧所属・東洋大学生命科学部生命科学科分子神経生物学研究室
    児島伸彦教授研究室
東洋大学学部所属時の卒業研究内容のポスター発表2件


    2023年8月1日(火) 16:00 〜 17:00 ポスター会場 (展示棟)
  • ポスター | H. 神経系の疾患
    [1Pa] うつ病と双極性障害
    [1Pa-116] 予測不能軽度ストレス曝露期間の違いとミクログリアのM1/M2極性転換・プライミング変化の相関性の検証

    陳 俊宇1、黄 嘉成1、韓 陶磊2、児島 伸彦1,2,3 (1. 東洋大学生命科学部、2. 東洋大学生命科学研究科、3. 東洋大学生体医工学研究センター)

  • 2023年8月2日(水) 16:20 〜 17:20 ポスター会場 (展示棟)
  • ポスター | H. 神経系の疾患
    [2Pa] うつ病と双極性障害
    [2Pa-116] 慢性予測不可能軽度ストレスマウスにおける腸内細菌叢-腸-脳軸の変動とその正常化の試み

    ○韓 陶磊1、陳 俊宇2、藤井 恒平1、呉 思越2、石橋 ひなの2、佐藤 健二郎3、児島 伸彦1,2,3 (1. 東洋大学 生命科学研究科、2. 東洋大学 生命科学部、3. 東洋大学 生体医工学研究センター)



発表論文:

〇卒業論文(卒業研究)のタイトル
「軽度不能軽度ストレス曝露におけるミクログリアの形態変化」
Morphological changes in microglia during the chronic unpredictable mild stress exposure
〇卒業研究の研究室名
東洋大学生命科学部生命科学科
分子神経生物学研究室(指導教員:児島伸彦

学会発表:

  1. 陳 俊宇、黄 嘉成、韓 陶磊、児島 伸彦(2023)
    予測不能軽度ストレス曝露期間の違いとミクログリアのM1/M2極性転換・プライミング変化の相関性の検証
    第46回日本神経科学大会, 仙台, 日本, 8月, 2023年.
    JUNYU CHEN, JIACHENG HUANG, TAOLEI HAN, NOBUHIKO KOJIMA (2023) Confirmation duration of chronic unpredictable mild stress exposure correlates with changes in M1/M2 polarization and priming of microglia. Japan Neuroscience Meeting, Sendai, Japan, Aug 2023.

  2. 韓 陶磊、陳 俊宇、藤井 恒平、呉 思越、石橋 ひなの、佐藤 健二郎、児島 伸彦(2023)
    慢性予測不可能軽度ストレスマウスにおける腸内細菌叢-腸-脳軸の変動とその正常化の試み
    第46回日本神経科学大会, 仙台, 日本, 8月, 2023年.
    TAOLEI HAN, JUNYU CHEN, KOUHEI FUJII, SIYUE WU, ISHIBASHI HINAO, SATO KENJIRO, NOBUHIKO KOJIMA (2023) Alterations in microbiome-gut-brain axis in chronic unpredictable mild stress mice and attempts to normalize them. Japan Neuroscience Meeting, Sendai, Japan, Aug 2023.


受賞歴:

  1. 2022年 東洋大学校友会学生研究奨励賞 受賞

ウェブ:

研究室ウェブサイト(陳俊宇)